ブエノスアイレス・ニュース No.91 2019年2月10日
ようやく本格的な夏がやってきたブエノスアイレスです。今夜は、Carlos Espinoza y Noelia Hurtado(カルロス・エスピノサとノエリア・ウルタード)のデモを見てきた。場所はいつものエル・ベソ。つい1週間くらい前に、彼らはカップルを解消することを、公表していた。
午前0時30分を過ぎたころ、彼らのデモは、始まった。踊りに関して言えば、少し練習していないのかな?という印象を受けたが、二人の間の雰囲気はよいように見受けられた。というのは、前回同じエル・ベソで見た時は、カルロスが少しいやな表情したのを覚えていた。でも今回は(吹っ切れたのか)二人の関係は良好に見えた。
一般的な話だが、タンゴにおけるパートナーとは、どういうものなのか?私生活を共にしているカップル。タンゴだけ一緒に踊っているカップルなど、様々。今日の主役は、後者。でも踊りの中には、相手に対する何らかの感情があるように見えた。それは、二人だけに理解できる感情。自分と重ね合わせるのは、ちょっと彼らに失礼かもしれないが、タンゴを続けてくると、その人それぞれに、タンゴが形成されていくのがよく分かる。そして、そのタンゴが、すべての人において異なる。簡単な例をあげれば、数あるタンゴの曲の中で、好みのタンゴは、みんな異なる。そういうタンゴの世界で、踊りは2人で踊らなければならないということ。共通する部分が多い人がパートナーになるといった傾向が強いと思うが、中にはお互いのタンゴの違いに尊敬の念を持ちパートナーになるカップルも。ただ明確に言えることは、自分とまったく同じタンゴを持った人間は世界中探しても存在しないということ(少なくとも私はそういう人にめぐり逢っていない)。だから葛藤が生まれ、やりばの無い気持ちに苛まれることがある。そして、その気持ちがどうにも抑えられなくなった時、カップルは解消するのだと。
彼らが私の思っているようなことが原因でカップル解消したのかどうかは定かではないが、私自身、うちの奥さんと踊らなくなったのは、タンゴの違いを痛感し、そのギャップを埋められないと思ったからであることは確か。いつか、ギャップを乗り越えられる日が来るのかどうか、というようなことを考えながら二人の素晴らしいデモをみていた。
今回のテーマは、とても大きく結論めいたことが、書けるわけではないが、思ったことを書き綴ってみました。
ブエノスより