議会会場の前でタンゴを踊るデモ
日本のニュースでも既に取り上げられているので、ご存知の方もいらっしゃると思いますが、先日(7月12日)、議会会場の前で、タンゴを踊るデモがありました。
これは、以前タンゴマラソンの時にご紹介したミロンガの主催者の団体(AOM)が、呼びかけて行われました。
事の発端は、電気料金、ガス料金、水道料金の値上げにあります。
特にガス料金は、2ヶ月に1回の支払いなので、料金の値上がり幅が2倍になるわけです。
我が家でも、前回まで2ヶ月で200~300ペソの料金だったものが、いきなり1,300ペソを越える請求金額になりました。
ブエノスアイレスでの報道通り600%の値上げということになります。
ブエノスアイレスのミロンガは、夜中に営業しているところが多く、会場の照明に電気、そして寒い冬には、暖房のためにガスを消費します。
最近は、エアコンの暖房も増えていますが、ブエノスでは、ガスストーブが主流なのです。
そして、営業時間が7時間程度(ミロンガ前にレッスンをしている所は、それ以上)が一般的なので、かなり長時間消費することになります。
それにより、売上における経費(光熱費)の割合が、一気に上昇し利益を圧迫することになりました。
その結果、営業を中止せざるを得ないミロンガがでてきています。
日本でもおなじみのクラブ・スンデルランド(毎週土曜日)や、ラ・バルドサ(毎週金曜日)等が現在も営業を停止しています。
このような現状を危機と感じたAOMは、冒頭で紹介しましたタンゴを踊るデモを実施したわけです。
値上がり幅600%というのは、まず日本では考えられないことですが、こちらブエノスアイレスでは、実際に起こっています。
ミロンガの主催者達は、入場料を値上げするなどして対応していますが、値上げ幅が大きくなると人が集まらなくなるので、それほど急激な値上げは出来ないようです。
せいぜい90ペソだったところを100ペソにするくらいの様です。
もし、ガス料金と同じ600%の値上げをしたとしたら、90ペソが540ペソになってしまうわけで、到底、一般市民が払える額ではなくなってしまうのです。
昔から続いてきた老舗ミロンガがこうした理由で営業を停止しなくてはならないということは、とても悲しいことです。
ブエノスアイレスで流れている噂話
ここからは、ブエノスアイレスで流れている噂の話をします。
このような値上げを断行した政府の代表者であるマクリ大統領について非難する人は、とても多くなっています。
なぜならガス会社が値上げしなくてはならなくなった原因は、政府からの補助金の停止によるものと言われているからです。
電気、ガス、水道等の公共料金だけでなく、コレクティーボ(乗合バス)、タクシー、地下鉄やその燃料となるガソリンも補助金の停止により値上がりしています
そして、無料で行われていた夜間学校等まで補助金の縮小により閉校せざるを得ない状況になっています。
ですから市民の不満が、マクリ大統領に向けられるのも無理がありません。
しかし、さらに遡ると去年12月に政権交代があり、クリスティーナ前大統領が、自分とは対立する政権が発足することをよしとせず、政権交代前に予算を使い果たしたとも言われています。
この噂が本当だとするとマクリ大統領が就任した時には、政府にほとんどお金が残っていなかったことになり、補助金の縮小がその対策となっていることになります。
まあ、クリスティーナ前大統領は、マクリ大統領の就任式を欠席したくらいですから、いろいろとあったのでは、という噂が流れるのも仕方のないことですが、日本のことわざの「飛ぶ鳥跡を濁さず」は、この国には当てはまらないようです。
我が家もこれからガスストーブを電気ストーブに替えて節約しなければなりません!
ブエノスより